日本教科教育学会誌
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23 巻, 4 号
選択された号の論文の7件中1~7を表示しています
  • 平川 幸子, ヌ ヌ ウェイ
    原稿種別: 本文
    2001 年23 巻4 号 p. 1-9
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    変化の激しい現代社会においては,学校で問題解決能力を育成することが求められている。教育改革の中で重視されている問題解決能力の指導と評価について,高等学校の地理の教員はどのような考えをもち,どのように指導・評価を行っているのだろうか。この研究では,高等学校の地理教員に対するアンケート調査により,思考力・判断力・表現力に焦点を当て,教員の問題解決能力に関する指導・評価観とその実態を明らかにした。問題解決能力の重要性は,多くの教員が認識していることが明らかになった。しかし,その一方で,それらの能力を意図的・系統的に指導したり,評価したりすることには,多くの教員が十分な実践ができないと感じていることが明らかになった。
  • 杵淵 信, 安藤 明伸, 鳥居 隆司, 奥野 亮輔
    原稿種別: 本文
    2001 年23 巻4 号 p. 11-19
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    授業分析手法では,主に教師と生徒の言語行動についての視座によるものが一般的であるが,実習を伴う授業スタイルを多くとる技術・家庭科などにおける授業では,言語行動だけでなく机間巡視行動などの空間的な教授行動も表出するので,これの分析・考察をすることが重要となってくる。しかしこれらの空間的な定量的情報は取得が困難であり,授業反省の場において指摘する際に,客観性に乏しく観察者の主観の域を脱し得ず具体性に欠けていた。本研究では,コンピュータによって,教室内における教師位置の座標と,そこで生起している活動主体を同時にとらえることで授業過程を表現できるシステムを開発し機能の検証を行った。その結果,教師の移動軌跡や活動主体との関係を可視化することが可能となり,授業反省の場に共通に認識できる資料を提示できるだけでなく,新たな授業の一側面について分析を行えることがわかった。
  • 中村 喜久江
    原稿種別: 本文
    2001 年23 巻4 号 p. 21-28
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    現在の子どもの食事環境が変化し,自分で日常生活での栄養バランスの取れた食事を整える能力を必要とするようになった。これまでの家庭科では,食品を適量組み合わせて調理する過程を経る献立学習によりそのような能力を育成してきたが問題が生じてきている。そこで,子どもの食事の実態と発達段階に適合した方法で食事の栄養バランスを判断できる能力を育成する「料理‐栄養」学習を構想した。本学習は,日常生活で経験する料理一皿(椀)の概念に注目して,主食,主菜,副菜,汁物を揃えて食事を整える食構成を媒介として栄養の概量を認知させる内容から成る。中学生を対象とし,コンピュータを活用して一皿単位の料理の栄養価を栄養所要量に対する充足率で認知させ,料理の栄養価から食事の栄養バランスを評価する方法を取る。
  • 猫田 和明
    原稿種別: 本文
    2001 年23 巻4 号 p. 29-38
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    初等教育からの外国語教育が世界の常識となる中で,中等教育における既存の外国語教育とのつながりが多くの国で問題視されている。中でもオランダでは,1986年に初等教育において「英語」が必修科目となったが,中等教育との円滑な連携を図ることができず,以後,この事態の改善のために多角的な取り組みが続けられている。本稿は,オランダの初等・中等教育における英語教育の連携問題にかかわる諸事象を歴史的な視点から記述することを通して,これから初等教育における英語教育を本格的に導入しようとする日本においても避けることのできない同問題を考える上での基礎資料を提供することを目的とする。特に本稿ではこの問題における多角的な改善のアプローチの中から,到達目標の制定,国家評価計画の遂行,教科書の整備にかかわる内容を中心に考察している。教科書に関しては,タスク分析の結果,初等教育の最終学年と中等教育の第1学年の間にはタスクのいくつかの側面において類似が見られた。
  • 峯石 緑
    原稿種別: 本文
    2001 年23 巻4 号 p. 39-48
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本稿では,標準テストに代わる「代替評価」の手段として,英語教育においては主に海外で使用されている「ポートフォリオ」に注目し,その成立背景や代替評価の手段としての有効性を先行研究に基づき考察し,次に「評価」の手段としてではなく「教授」の手段としてポートフォリオを使用する試みについて論じる。ポートフォリオは,幅広い年齢層に使用可能であるうえ,学習者にとっては自律的な能力を伸ばす指針となり,教師には適切な教授の枠組みを与えてくれる有効な評価法として注目されてきた(Smolen et al. 1995)。また,学習者の自己評価能力やメタ認知能力を高めるという教育的に極めて重要な機能をも有している。従って,評価手段としてばかりでなく教授の一環としても,プログラムに組み込む意義は大きいと考えられる。「ポートフォリオを教授ツールとして用いた英語授業」の実施に向けて,まず上述のようにポートフォリオ成立の背景とその目的及び機能を明らかにし,続いて,先行研究を概観しながら英語教育における教授ツールとしてのポートフォリオの有効性を探ってゆく。
  • 松田 圭子, 長石 啓子
    原稿種別: 本文
    2001 年23 巻4 号 p. 49-58
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    小学校家庭科の衣服を核とした総合的な学習において,衣服から世界を見つめていこうとする意欲や実践力を育て,児童の衣服に関する興味・関心を高めることを目的とし,授業開発を行った。本報では,授業の全体構造と学習プロセスについて報告する。授業の設計に関しては,(1)児童の関心と視点が身近な衣服から世界の国々とのつながりに無理なく広がるように学習の流れを設定すること。(2)児童の持つ課題が授業を構成すること。(3)課題設定が無理なくできる導入の授業を設定すること。(4)興味・関心を高めるため,体験活動を取り入れることの4点を重視した。授業全体を4部構成とし,授業の実践に当たっては,問題解決の基本プロセスが体験できるよう配慮した。その結果,児童の中に,課題を持つ子が多く見られ,課題から授業を設計することができ,活動の時間は,自発的にとりくむなど,積極的な学習への取り組みが観察された。
  • 三崎 隆
    原稿種別: 本文
    2001 年23 巻4 号 p. 59-64
    発行日: 2001/03/31
    公開日: 2018/05/08
    ジャーナル フリー
    本研究では,場依存型の認知型の生徒の計算能力が理科の文脈に依存することを調査した。まず,EFT,数学の調査,理科の調査を実施した。数学の調査問題は1次関数の計算である。理科の調査問題はボイルの法則に関する1次関数の計算である。理科の調査問題と数学の調査問題はそれぞれ2問ずつあり,同じ数値を使った。EFTの結果から,2つのタイプに分けた。得点の高い生徒を場独立型の認知型の生徒,得点の低い生徒を場依存型の認知型の生徒とした。EFTの結果と数学及び理科の調査問題の結果とを比較した。その結果,場独立型の認知型の生徒は両教科の調査問題が解けた。一方,場依存型の認知型の生徒は,数学の調査問題は解けたが,理科の調査問題は解けなかった。この結果から,場依存型の認知型の生徒には教科の文脈に依存する傾向のあることが実証された。
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