日本教科教育学会誌
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家庭科における意思決定の教育内容に関する考察 : 日米の中等学校教科書の分析
河﨑 智恵
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2001 年 24 巻 2 号 p. 21-30

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抄録
家庭科にとって意思決定は中核的な概念として重要であり,家庭科教育における意思決定の概念の導入とその能力育成が課題となる。本研究では,意思決定の能力育成を家庭科に導入するための示唆を得ることを目的とし,(1)意思決定が取り上げられている文脈,(2)意思決定プロセスの捉え方,(3)意思決定における価値の取り扱い,(4)メタ判断に対する言及の有無について,日米の教科書の分析を行う。日米の教科書には,共通に自己および家族の自己実現のための意思決定,消費者としての配慮ある合理的な意思決定が認められた。意思決定プロセスは米国の方が現実的で具体的であり,価値についても詳しかった。意思決定の能力の育成方法として,不確実性下での意思決定および意思決定が複雑に積み上げられていく熟慮的な意思決定における,具体的な事例のシミュレーションによる学習方法が有効であり,今後,日本の生徒に適した意思決定の能力育成の方法を開発する必要がある。
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© 2001 日本教科教育学会
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