抄録
本研究は,小学校低学年・中学年・高学年の理科及び生活科における学び合いの実態を長期間調査し発達的分析を試みた。また,学び合い文化を向上させる実践を行った。調査Iでは,既成グループでの話し合いケースの変化を調査し,話し合いは「安易な合意ケース」になる傾向が強く「経験交換ケース」が現れにくいことを明らかにした。調査IIでは,学び合いの指導を以前から受けている2年生の話し合い活動を調査し,話し合いの発達レベルは学年発達ではなく,学び合いの文化に依存するものであることを明らかにした。調査IIIでは,学習者に内在する学び合い能力を引き出し,自由グループで話し合い・協同作業を行うことで,どの学年も学び合い文化が向上することを明らかにした。調査IVでは,話し合いケースとグループ構成との関連を調査し,「経験交換ケース」で話し合いを行ったメンバーは継続してまた同じグループを組む傾向が強いことを明らかにした。