日本教科教育学会誌
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英語詩を利用した言語形式の焦点化の特徴に関する一考察 : 詩のコミュニケーションの特徴から
西原 貴之
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2008 年 31 巻 2 号 p. 19-28

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抄録

言語形式の焦点化(focus on form)の手段として文学教材の活用が注目されてきている。しかし,言語形式への焦点化はもともと日常的なコミュニケーションを想定しているため,文学教材を用いることによって従来型の方法との相違点が出てくることが予想される。これまでの研究では,言語形式の焦点化と文学教材の読解の共通点のみに議論が集中し,それらの相違点については考察されてこなかった。本論文では英語詩に着目し,英語詩を取りまく詩のコミュニケーションの性質が言語形式の焦点化にどのような特徴をもたらすのかを議論する。具体的には,(1)意味理解はゆっくりと平行的に進む,(2)学習者は有標的言語表現の言語形式に注意を向ける,(3)意味面と言語形式面のマッピングには弱い推意と有標的言語形式が関わる,(4)言語形式への注意による意味理解の妨げは奨励されるべきものである,という特徴を指摘する。

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© 2008 日本教科教育学会
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