抄録
本研究の目的は,体育授業に対する生徒の価値態度の構成要因について,因子構造,因子間の関連性,および性差の観点から検討することであった。調査項目は,内容妥当性および理論的妥当性により有効と判断された6要因50項目を設定した。中学校・高等学校生徒1,866名を対象に調査し,データの検証を行い生徒1,444 (約77.4%)名の有効な回答を得た。その結果,生徒の価値態度の構成要因の因子構造は「仲間(チームワーク)」因子を加えた7因子(「意欲」,「楽しさ」,「仲間(チームワーク)」,「まもる」,「学ぶ(わかる)」,「協力」,「できる」)から構成されていた。また,抽出および解釈された因子相互に,有意な関連性が多く認められた。さらに。「意欲」,「楽しさ」,「仲間(チームワーク)」,「まもる」,および「協力」因子で性差が認められ,男子は女子よりも「意欲」および「楽しさ」因子を,女子は男子よりも「仲間(チームワーク)」。「まもる」および「協力」因子を体育授業で重要視していると推察された。