日本教科教育学会誌
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技術を評価する対話の分析に基づく学習指導の検討
谷田 親彦相澤 崇
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2011 年 34 巻 1 号 p. 17-26

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抄録

本研究では,「技術の評価」を主題とする技術科の授業や学習に関する基礎的知見を得ることを目的として,新たに開発される技術が,社会や生活に及ぼす影響について検討する対話の分析を行った。教育系学部生10名を調査対象者として,人型ロボットの開発・普及に対する評価をテーマとした半構造的インタビューを実施した。その結果,対話プロセスは「観点追加」「意向変化」及び「焦点化」などに分類することができた。「観点追加」からは,技術の発展による利便性の向上と反して環境的・社会的問題が発生することを理解し,適切な対処方策と持続的な発展を目指す対話プロセスが推察でき,技術を評価する際の基本的視点が示唆された。また,技術が生活・社会に与える影響には,正負の側面が混在することを理由として,適切に評価・判断することを避ける事例が抽出され,学習指導上で配慮する必要性が示唆された。

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© 2011 日本教科教育学会
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