抄録
learning to learn(L2L:学びの学習力)は,キー・コンピテンシーの中核とされ,PISA の分析報告書によると,形成的アセスメントによる指導がその獲得に有効性があると指摘されている。本研究では,高校教員の日常の学習指導に注目し,学習指導の背景にある共通する内容に注目した。そこで,主体的な学習につながる指導方法の取組状況を質問紙調査による把握・分析を通して,「学びの学習力」に関する指導の特徴を捉え,今後の教育改革の一助とするものである。調査の結果,多くの高校教員が,(1)授業において助言等で自力解決を支援することや(2)誤答は理解へのチャンスと励ましており,部分的ではあるが「学びの学習力」につながる指導を取り入れていることが明らかになった。しかし,授業において(1)主体的に探究する指導や(2)自己の学習状況を把握させる指導については,担当教科の違いに関係なく,各教員による差が大きく今後の課題として浮かび上がった。