抄録
本研究では,小学2,3,4,5年生児童を対象として身体接触を伴う運動「組ずもう」の教育的効果を「攻撃的な感情の表出」の抑制,「身体への気づき」及び「筋出力の制御力」の観点から検討するとともにその学年差を明らかにした。すなわち,「組ずもう」の全8時間からなる授業の効果を「攻撃性質問紙調査」「自他の身体への気づき調査」「最大握力の二分の一発揮課題の正確性」によって把握した。その結果,「組ずもう」は,すべての学年において児童の「筋出力の制御力」を高めるともに「身体への気づき」を促し「攻撃的な感情の表出」を抑制することが認められた。また,この学習効果は,「攻撃的な感情の表出の抑制」「身体への気づき」「筋出力の制御力」のすべての側面において量的には2年生で大きく出現する傾向が認められた。