日本教科教育学会誌
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小学校教師の体育授業力量形成の契機に関する調査研究-指導的立場にある教員を対象として-
加登本 仁辻 延浩
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2016 年 39 巻 1 号 p. 35-48

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抄録

本研究では,地域や学校内で「指導的立場にある教員」と判断された小学校教師202名を対象とした質問紙調査を手がかりに,彼らが,これまでに,いつ,どのような経験によって体育授業の力量を高めてきたかを明らかにすることによって,キャリアステージに応じた効果的な環境的要因とその適した時期について考察することを目的とした。
分析の結果,次の3点が示唆された。1)「指導的立場にある教員」は,5年目までは体育主任や先輩教師に学び,16年目以降では,若手教師への指導を通して自身の力量を高めてきた。2)5年目までは,先輩教師の授業を参観すること,15年目までは県や地域,全国規模での研究授業を実施すること,11年目以降は,研究発表を実施することによって力量を高めてきた。3)5年間までに体育主任になる場合が多く,6年目以降,研究組織での活動に付随して学校外での学習機会が増えていく。21年目以降では,管理職や指導主事として,校内だけでなく地域のネットワークのなかで力量を高めていく。

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