抄録
佐伯はMcCallon-BrownのSDを用いて高校生の数学への態度を測定し,SDプロフィールには二つのパターンーI型とII型-が現われたことを報告した。筆者は同じSDを教育学部小学校教員志望学生に実施したところ,算数がすきの被験者から成る群の画くSDプロフィールとして,佐伯によるII型に属すると思われるものが得られた。その後,筆者は教育学部小学校教員志望学生263名にAnttonenのSD(18尺度)を実施した。この研究は,このSDでも先と同様なことが成り立つかを調べたものである。同時に実施した7点尺度によって,被験者を算数がすき,きらい,中間の三群に分類したところ,算数がすきの群ときらいの群の群平均の尺度値は17個の尺度では1%水準で,残る尺度も5%水準で有意な差をもった。このことから,算数がすきの群はAnttonenのSDにおいても特徴的なSDプロフィールをもつこと,この研究の被験者に関する限り,群は得られたSDプロフィールで特徴づけることができるとの結論が得られた。