日本教科教育学会誌
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日本人EFL大学生の動機付け向上を目指したブレンド型授業におけるe-ラーニングの効果
― 自己決定理論に基づいて ―
山本 淳子大場 浩正
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2018 年 41 巻 2 号 p. 27-40

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抄録

日本人大学生の英語学習に対する動機付けを高めることを目的として,ラーニング・マネジメント・システム(LMS)の一つであるGoogle Classroom を利用して,オンライン学習と対面授業を組み合わせたブレンド型授業(反転授業)を展開した。この授業を受けたグループを介入群,通常の授業を受けたグループを統制群として,動機付け質問紙調査の前後差を比較した。介入群では自己決定理論に基づき,自律性,有能性,関係性の欲求を満たすべく,学生の自主性を尊重し,達成感を得られるような工夫を加え,関係性を重視した。介入群が行ったe-ラーニングが,3つの欲求にどのように影響するのか分析したところ,介入群に負の効果が現れた。その結果の背景には,習熟度,負荷,交流不足,PC の操作性の問題があったと推測する。ただし,操作性の問題は,学年が上がりPC の扱いに慣れるにつれ軽減すると思われる。 事後のスピーキングテストを2群で比較したところ,介入群の平均点が統制群よりも高かった。これは事前の英語テストにおける下位群が得点を押しあげていたためであることがわかった。スピーキングテストに関して言えば,介入は群全体でなく,英語能力の低い学生ほど有効に働いた可能性がある。

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