2023 年 45 巻 4 号 p. 13-22
本研究は,社会科社会問題学習の中でも問題構築を扱う授業の開発研究である。社会問題学習において問題構築を扱う授業は,政策問題や論争問題を扱う授業に比べ,研究の蓄積が乏しい。 しかし,社会秩序を批判し問題構築に関わる能力や問題構築活動を批判できる能力は,公民的資質の重要な構成要素である。そして,社会科授業では広い視野から批判的考察を行い,自由を拡げる必要がある。そこで本研究は,先行研究の分析より問題構築を扱う授業の成果と課題を明確にし,その上で先行研究の成果を活かし課題を克服する授業として,広い視野からの「比較制度批判学習としての授業」および「異議申し立て活動批判学習としての授業」の必要性を示した。そして,それぞれ授業構成の論理を示し,授業開発を行い,中学校社会科の小単元「家族政策等」と小単元「水俣病の認知」の学習指導案を提示した。