本研究では,学習課題として設定される集団の〈問い〉と,自分の中でつくられる自己の〈問い〉に乖離がある中では,自己の〈問い〉を追究する学習者が育ちにくいという問題意識のもと,集団の〈問い〉の交流を行う授業においても,自己の〈問い〉を追究し続けることができるような学習デザインを検討する。そして,その内実を分析することで,自己の〈問い〉と集団の〈問い〉の相互作用を明らかにすることを目的とした。そこで,先行研究から「素朴な疑問から〈問い〉をつくり追究」「「読み方のポイント」の提示」「紙上カンファランス」という手立てを中核とした学習デザインを考案し,実践を行った。その結果,自己の〈問い〉と集団の〈問い〉の関連付けなどが促されることで深化を含む解釈の変容が見られたり,自己の〈問い〉を更新していく姿を促したりする作用が確認できた。