1980 年 5 巻 4 号 p. 219-226
本研究は,知覚-運動スキルを適応過程の問題として捉えた。そこで,まず反応選択の自由度の階層性に基づいて3つの異なった学習条件を設け,その条件下でスキルの系列学習を行なわせた。そして,習得されたスキルが適応事態においてどのような適応過程を示すかを検討した。実験結果は,試行数,試行遂行時間,成功試行数,予測およびタイミングといった5つの観点から分析し,次のような結論を得た。(1)試行数,試行遂行時間,成功試行数および予測に関しては,適応事態において自由度の最も高いグループが他のグループに比較して,最も高いパフォーマンスレベルを示した。(2)タイミングに関しては,適応事態における3つのグループのパフォーマンスレベルは低下する傾向を示したが,自由度の一番高いグループにおいてその傾向は最も顕著であった。