日本作物学会紀事
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味度メーターおよびラピッド·ビスコ·アナライザーを利用した水稲良食味系統選抜
佐藤 弘一斎藤 真一平 俊雄
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2003 年 72 巻 4 号 p. 390-394

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抄録

水稲の育種において, 良食味系統を効率的に選抜するために, 味度メーター値 (以降味度値と表記), ラピッド·ビスコ·アナライザー (以降RVAと表記) 特性値と食味官能検査との関係について検討した. 味度値, RVA特性値のコンシステンシーは食味官能検査との相関が高く, 遺伝力が高かった. 食味の優れた品種, 系統の特性を総合的に判断するために, 味度値, RVA特性値の相関行列をもとに主成分分析を行った. 第1主成分は, 最低粘度, 最終粘度, コンシステンシー, 味度値の4特性と関わりが深い因子であり, 炊飯米の老化性を表すと考えた. また, これらは遺伝力が高く, 遺伝的に安定していると考えた. 第2主成分は, 最高粘度, ブレークダウンの2特性と関わりが深い因子であり, 米飯米の膨潤性, 崩壊性を表すと考えられた. また, これらは遺伝力が低く, 環境に影響されると考えられた. 良食味品種であるコシヒカリは, 米飯米の老化性が低く, 膨潤性, 崩壊性が高いことが認められた. これらのことから, 良食味系統を選抜する場合において, 味度値およびRVA特性値の利用は有効であることを認めた.

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© 2003 日本作物学会
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