玄米無機成分の穂上位置による差を明らかにするために, 日本晴, コシヒカリおよびスノーパールの3品種のそれぞれ1株内から, 3つの穂に着生していたすべての玄米について, 1品種につき計308∼368粒の乾重量およびリン, カリウム, マグネシウム, カルシウム, 亜鉛を1粒ごとに測定した. 解析する項目は, 乾重量, 無機元素濃度および1粒あたりの無機元素含量とした. 各項目とも各品種, 各穂で正規分布とならなかったため, ノンパラメトリック検定を用いた. その結果, 各項目とも, 穂による有意差が認められたので (P<0.05), 各品種毎に各穂の穂上位置による差を検討した. 1次および2次枝梗の着生位置の違いに着目して玄米を9つの群に分けた場合, 今回用いた3つの穂では, 各品種·各穂において乾重量, 無機元素濃度および1粒あたりの無機元素含量ともに, ほとんどの項目で有意差が認められた (P<0.05). 個別の位置による特徴は, 品種および選択した穂により若干異なることもあるが, ほとんど共通しており, 2次枝梗において, 乾重量と1粒あたりのリン, カリウムおよびマグネシウム含量が低く, また濃度では, 開花順序の遅い2次枝梗の先端から2番目と3番目に着生している玄米のリン, カリウム, マグネシウムおよび亜鉛濃度が高かった. 穂の頂部から基部へかけての玄米を1次枝梗別 (1枚枝梗および分枝している2次枝梗を含む) に8-13の群に分けた場合には, 各品種·各穂とも, 頂部から基部へ向かい, 乾重量は低下し, リン, カリウム, マグネシウム, および亜鉛濃度は高くなる傾向が見られ, ほとんどで有意差が認められた (P<0.05). これらの個別位置間の比較でも, 開花順序の早い頂部側と遅い基部側ほど有意差のあるものが多かった.
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