抄録
群馬県の早植・普通期水稲栽培地帯において, 省力施肥を目的に水稲育苗箱全量基肥栽培の導入の可能性について検討した. 育苗は県下で普及しているプール育苗とし, 水稲育苗箱全量基肥専用肥料「苗箱まかせ」を供試し, 4か年にわたり圃場試験を実施した. その結果, 肥料の過剰溶出による徒長が発生しやすく, 育苗は20日間程度が限界であった. また, 本田移植後に肥料の濃度障害とみられる生育抑制が発生する場合もあったが, 湛水深を3 cm以上とすることで被害の軽減が可能であった. その後, これらの問題は肥料の改良によりほぼ解決した. 活着後の水稲生育は, 従来の肥効調節型肥料に特有な生育を示した. 初期生育はやや抑制され, 茎数は少ないものの, 有効茎歩合, 登熟歩合が高まり, 基肥+追肥の標準体系の34~40%減の施肥量で収量, 品質ともに同等以上となった. 以上の結果から, 群馬県の水稲早植・普通期栽培地帯において, 育苗箱全量基肥栽培技術の導入が可能であると結論づけられた.