日本作物学会紀事
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腎臓病透析患者のための低カリウム含有量ホウレンソウの栽培方法の確立
小川 敦史田口 悟川島 長治
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2007 年 76 巻 2 号 p. 232-237

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抄録
我が国において近年増加傾向にある腎臓病透析患者は, カリウムを体外に充分排出できないため, カリウムの摂取を制限されている. 本研究ではカリウムの施肥量を制限することで, 可食部の生育を維持しつつ, カリウム含有量の少ないホウレンソウの栽培方法を確立することを目的とした. ホウレンソウの栽培は水耕法を用いて行い, 「栽培期間を通して水耕液中のカリウム濃度を減らして栽培した処理区」と, 「栽培初期はカリウムを減らさず栽培し, 栽培期間の途中から水耕液中のカリウム濃度を減らした処理区」を設定した. カリウム添加量を減少させた各処理区において, 収穫時の可食部の新鮮重は対照区と比較して有意な差は認められなかった. 新鮮重あたりのカリウム含有量は, 栽培期間を通して水耕液中のカリウム濃度を減らして栽培した処理区で最大32%, 栽培期間の途中から水耕液中のカリウム濃度を減らした処理区で最大79%減少した. この結果, カリウム施肥量を制限することにより, ホウレンソウ可食部の生育を維持しつつ, 収穫時の体内のカリウム含有量を減少させることが可能であることが明らかになった. 特に, 栽培初期はカリウムを減らさずに育て, 途中からカリウムを与えない栽培方法によって効率よくカリウム含有量を減らせることが明らかになった. また, カリウムの減少を補うようにナトリウムおよびマグネシウム含有量が増加していた. これらはカリウムに代わり浸透圧調節を行ったと考えられた.
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© 2007 日本作物学会
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