抄録
近年,宮城県産米の玄米品質等級は東北の他県と比べ低くなる傾向があり,さらに年次によっては大きく低下する場合がある.特に宮城県の南部,いわゆる仙南地域の玄米品質等級の低さが指摘されている.この原因として仙南地域の登熟期の気象要因が玄米品質等級を低下させているのではないかと推察されてきたが,これまでその気象条件を詳細に検討した事例は少ない.そこで本研究では,宮城県における水稲玄米品質低下要因を明らかにするために,仙南地域を中心に過去28年間で1等米比率が大きく低下している年次について,幼穂形成期から出穂期,出穂期から20及び40日間における気温,日照時間の特徴を県内各地域と比較した.その結果,幼穂形成期から出穂期の日最低気温が20℃以下の場合,出穂後20日間の日平均気温が25℃以上でかつ日最低気温が22~23℃を越す場合には,地域を問わず玄米品質の低下が顕著であることが分かった.また,出穂期前に低温となった年次や出穂後高温となった年次のいずれにおいても,同程度の日最低気温に対する1等米比率は,仙南地域が他地域より低いことから,仙南地域の品質低下には気温以外の要因の関与も示唆された.幼穂形成期から出穂期の日最低気温が20℃以下となった年次や,出穂後20日間の日平均気温が25℃でかつ日最低気温が22~23℃を越えなかった年次は,出穂後20日間の少照が品質低下の要因と推定された.