日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
作物生理・細胞工学
イネにおける生殖生長相の品種間差異について
-自然日長と短日処理による違い-
薮田 伸南 さやか箱山 晋川満 芳信
著者情報
ジャーナル フリー

2010 年 79 巻 3 号 p. 327-335

詳細
抄録
短日条件がイネの生殖生長に与える影響をジャポニカ,インディカを含む8品種を用いて検討した.生殖生長相は幼穂形成開始(以後,幼穂形成始期と表す)から出穂までとした.短日処理区(10時間日長)と自然日長区を設け,8 L容量ポットに1株1本植えで9個体を植え,各処理区・各品種5ポットずつ栽培し,それらの幼穂形成始期と出穂期を調べた.供試した8品種から得られた結果は次のとおりである.(1)短日処理により生殖生長相は晩生>中生>早生の順に短くなる傾向を示した.また,各品種の生殖生長相が短日処理により短縮される期間は早生>中生>晩生の順で長くなる傾向が認められた.(2)分散分析の結果,供試した8品種において生殖生長相は品種間,処理区間で1%水準の有意差があることが示された.一方,TEPI,MIRITI,BINASHAILは生殖生長相が短日処理区と自然日長区で変わらないことより,生殖生長相が短日処理の影響を受けにくい品種も存在することが分かった.
著者関連情報
© 2010 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top