日本作物学会紀事
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栽培
水稲深水栽培は茎のソース機能を高めることにより2次枝梗籾が増加しても白未熟粒の発生を抑える
千葉 雅大松村 修渡邊 肇高橋 能彦寺尾 富夫
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2013 年 82 巻 3 号 p. 223-232

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抄録

深水栽培は高品質米の生産技術として有効な栽培法である.深水栽培の稲体では,分げつの発生が抑制されて,ソース機能が高い強勢分げつ中心の構成になり,これが白未熟粒発生に影響していると考えられる.そこで,強勢と考えられる主茎と弱勢と考えられる2次分げつ(慣行区のみ)および最上位1次分げつについて,ソース機能に関与する形質として,穂揃期の葉身窒素量と葉鞘・稈の非構造性炭水化物量および登熟期の葉面積を測定した.また,穂内の1次および2次枝梗の着生籾数を調査した.その結果,深水栽培では,主茎と最上位1次分げつの両方で,慣行栽培に比べて,籾あたりのソース機能は増加し,白未熟粒割合が低下した.つまり,深水栽培では,強勢・弱勢にかかわらず,すべての次数の茎で籾あたりのソース機能が増加し,白未熟粒の発生が抑制された.したがって,1穂籾数が増加して,品質が低下しやすい2次枝梗籾の割合が増加しても,ソース機能の増加により,白未熟粒の発生が抑制されたと推察される.

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© 2013 日本作物学会
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