抄録
前報では,北海道の秋まきコムギの分げつ出現時期と有効化率およびこれらが収量に及ぼす影響を検討し,越冬直前に葉数で2枚以上を有する分げつ(頑健茎)の有効化率が高く,収量を左右すると推察した.本研究では,前報で用いた頑健茎を生育量の指標に用いて,越冬前の個体あたり頑健茎数の差異が稈長,穂長および収量構成要素に及ぼす影響を調査した.さらに,個体あたり頑健茎数と越冬前主茎葉齢との関係を調査し,多収を得るための望ましい越冬前主茎葉齢を検討した.その結果,稈長には有意差はなかったが,個体あたり穂数,一穂子実重,一穂粒数は頑健茎数が多い個体ほど有意に増加し,収量の高い穂および個体が形成された.つぎに,頑健茎数と越冬前主茎葉齢との関係では,栽培条件の差異により分げつの出現に大きな差はなく,主茎葉齢5葉で3本,5.5葉で4本,6.0葉で5本確保されることが明らかとなった.また,得られた結果から各主茎葉齢ごとの播種密度を試算すると,主茎葉齢5.5葉では167粒m-2,6.0葉では132粒m-2となったが,6.0葉の132粒m-2では播種密度が少なく,播種機の播種精度の観点から安定した播種作業が難しいと推察された.以上のことから,北海道の秋まきコムギの越冬前主茎葉齢は5.5葉前後が望ましく,越冬前主茎葉齢の差異により収量が変動すると推察した.