日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
寒冷地に適した水稲玄米の胴割れ耐性基準品種の選定
中込 弘二出田 収重宗 明子太田 久稔福嶌 陽横上 晴郁津田 直人小林 麻子林 猛両角 悠作
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2019 年 88 巻 3 号 p. 193-203

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抄録

玄米の胴割れ発生が少ない品種を育成するための選抜指標を作成する目的で,刈遅れにより玄米の胴割れを助長させ,胴割れ粒の割合で評価する刈遅法で,寒冷地に適した胴割れ耐性基準品種選定試験を行った.試験は寒冷地北部に位置する東北農業研究センター,寒冷地南部に位置する福井県農業試験場および登熟期間の気温がより高温となる西日本農業研究センターにおいて,2015年から2017年の3カ年実施した.その結果,寒冷地北部早生熟期では 「奥羽431号」 を胴割れ耐性‘強’,「はなの舞」 および 「奥羽390号」 を‘中’,「あきたこまち」 を‘やや弱’,「つがるロマン」 を‘弱’として選定した.寒冷地北部中生熟期では 「羽系1210」 を‘強’,「ひとめぼれ」 および 「はえぬき」 を‘中’,「トヨニシキ」 および 「雪化粧」 を‘弱’として選定した.寒冷地南部早生熟期では 「奥羽431号」 を‘強’,「イナバワセ」 を‘中’,「あきたこまち」 を‘やや弱’,「トヨニシキ」 を‘弱’として選定した.寒冷地南部中生熟期では,「笑みの絆」 を‘強’,「ひとめぼれ」 および 「はえぬき」 を‘中’,「コシヒカリ」 を‘やや弱’として選定した.また,これらの基準品種は,「奥羽431号」 および 「羽系1210」 を除き,刈遅法の代替法とした,籾を15℃の水に浸漬し自然乾燥する籾水浸法や玄米を25℃で5時間の吸湿処理する玄米吸湿法にも適用できると判断された.

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