日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
研究・技術ノート
温暖地西部の中生およびやや晩生熟期における水稲玄米の胴割れ耐性基準品種の選定
中込 弘二笹原 英樹重宗 明子出田 収小林 麻子両角 悠作
著者情報
ジャーナル フリー

2020 年 89 巻 2 号 p. 143-150

詳細
抄録

玄米の胴割れ発生が少ない品種を育成するための選抜指標を作成することを目的として,遅刈りにより玄米の胴割れを助長させ,胴割れ粒の割合で評価する刈遅法により,温暖地西部に適した胴割れ耐性基準品種選定試験を行った.試験は温暖地西部に位置する西日本農業研究センターと寒冷地南部に位置する福井県農業試験場において,2015年から2018年の4カ年実施した.その結果,中生熟期では「やまだわら」を胴割れ耐性‘強’,「きぬむすめ」および「せとのかがやき」を‘中’,「ヤマヒカリ」および「あきだわら」を‘弱’として選定した.やや晩生熟期では「ヒノヒカリ」を‘中’,「あそみのり」を‘やや弱’,「碧風」を‘弱’として選定した.晩生熟期では基準品種を選定できなかったが,「ニシホマレ」および「ひめのまい」で胴割れの発生が少なく,「アケボノ」および「朝日」は発生が多い傾向にあった.また,刈遅法による胴割れ率は籾水浸法や玄米吸湿法による胴割れ率との間に高い相関を示したことから,本試験で選定した中生およびやや晩生熟期の基準品種は,刈遅法の代替法とした,籾を15℃の水に浸漬し自然乾燥させる籾水浸法や玄米を25℃で5時間の吸湿処理を行う玄米吸湿法にも適用できると判断された.

著者関連情報
© 2020 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top