新潟県内の砂丘地と水田転換畑においてパン用コムギ品種「ゆきちから」を栽培し,開花期の窒素追肥と子実灰分との関係を検討した.砂丘地では,開花期窒素追肥により子実灰分および子実リン含有率は増加したことから,リンが子実灰分の増加に寄与したことが明らかになった.水田転換畑では開花期窒素追肥と子実灰分との間に明瞭な関係は認めなかった.これは,砂丘地では開花期窒素追肥による整子実重の増加に対して子実リン含量の増加の度合いが大きかったのに対し,水田転換畑では開花期窒素追肥により子実リン含量は有意に増加しなかったことに起因した.開花期窒素追肥により登熟期リン吸収量は増加し,その増加量は砂丘地の方が多かった.砂丘地の可給態リン酸含量 (トルオーグリン酸) は水田転換畑に比べて多かったことから,可給態リン酸含量が登熟期リン吸収量に影響を及ぼした可能性が示された.以上のことから,開花期窒素追肥と子実灰分との関係は,子実リン含量増分と整子実重増分のバランスにより異なることが明らかになった.また,可給態リン酸含量が多い土壌では,開花期窒素追肥により子実灰分は増加する可能性が示唆された.