日本作物学会紀事
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栽培
非破壊計測による水稲生育形質の推定精度の検討
荒井(三王) 裕見子岡村 昌樹建石 邦夫矢部 志央理荻原 均吉田 ひろえ吉永 悟志小林 伸哉
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2021 年 90 巻 2 号 p. 160-167

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抄録

主食用水稲品種「コシヒカリ」や業務・加工用多収品種「あきだわら」等の6品種を供試し,4段階の窒素施肥条件下で栽培した.画像情報や分光センサ情報等(植被率,NDVI,受光率)から水稲の生育形質(葉面積指数(LAI),茎数,地上部乾物重,葉身窒素含量,植物体窒素含量)を説明できるか検討するために,非破壊計測による生育形質の推定精度を評価した.非破壊計測と生育形質の調査は,移植後24,38,54,66日に行った.その結果,移植後24日~幼穂形成初期において,植被率とLAI,地上部乾物重,植物体窒素含量,NDVIとLAI,葉身窒素含量,植物体窒素含量,受光率と地上部乾物重との間では,回帰式の決定係数(R2)が0.8以上と高く,関係性があると示唆された.また,移植後24日では手持カメラ画像の植被率と地上部乾物重,植物体窒素含量,移植後24と38日では全ての非破壊計測値と茎数を除いた生育形質,幼穂形成初期では携帯型計測のNDVIと地上部乾物重を除いた生育形質,受光率とLAIとの間では,回帰式のR2が0.7以上と高く,関係性があると示唆された.しかしこれらの二乗平均平方根(RMSE)で示される推定誤差は,大きい傾向があった.

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© 2021 日本作物学会
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