日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
valleyタイプキノア,Amarilla de Maranganiの収量決定要因について
磯部 勝孝小出 俊輔山崎 遼太川村 佳大肥後 昌男氏家 和広
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2021 年 90 巻 2 号 p. 206-210

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抄録

ValleyタイプキノアのAmarilla de Maranganiを用いて,株間と条間の違いが収量に及ぼす影響を明らかにするととともにvalleyタイプキノアの子実収量と地上部の乾物生産量との関係を明らかにした.試験は日本大学生物資源科学部付属農場(神奈川県藤沢市)で2014年,2016年と2017年に行った.全ての試験区とも1 m2あたりの個体数を100個体にし,株間6.67 cm・条間15 cm,株間3.33 cm・条間30 cm,株間1.67 cm・条間60 cmに設定し,播種は8月または9月に行った.子実収量は79.7 g m–2から273.2 g m–2の範囲で,いずれの年も株間6.67 cm・条間15 cmから株間1.67 cm・条間60 cmの範囲で有意差は認められなかった.今回の試験で得られた子実収量は3月や4月に播種したNL-6の子実収量に比べて低かったが,これは生育期間の日射量の違いが一因であると考えられた.また,子実収量や粒数は開花盛期の地上部乾物重との間に有意な正の相関関係が認められた.従って,高い子実収量を得るには開花盛期までの地上部の生育を旺盛にすることが重要と考えられた.

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