わが国の水稲栽培における千粒重の年次間差異に及ぼす気温の影響を,41道府県の過去19年間について気象庁が公表している気象データと農林水産省が公表している作物統計を用いて解析した.出穂前4週間に関しては,41道府県の平均気温は20.6~28.8℃の範囲にあり,その中で26.5℃以下の20道県においては,平均気温が低い年次は千粒重が軽いという傾向が認められ,特に平均気温が24.0℃以下の6道県においては,いずれも1%水準で有意な正の相関関係が認められた.その要因として,出穂前の気温が低い年次は,その間に決まる籾殻サイズが小さくなることが考えられた.一方,出穂後4週間に関しては,41道府県の平均気温は21.3~27.5℃の範囲にあり,平均気温と千粒重の関係は明確でない道府県が多かった.