オオムギ品種「キラリモチ」は,後期重点型追肥区(窒素成分で元肥:4 g m–2,分げつ肥:2 g m–2,穂肥:6 g m–2,開花期追肥:6 g m–2,4-2-6-6)で窒素を穂肥期や開花期に追肥することで,対照区(4-2-0-0)に比べて穂数が増加して収量が増加するものの,収穫期でも未成熟の分げつが多くみられる.穂肥を施用せずに分げつ肥を増施する分げつ肥増施区(4-8-0-6)を設定することで,早くに有効分げつ数を確保して,これよりも遅く発生する分げつの発生を少なくしようと試みた.さらにこれら分げつがどのように有効化・無効化していくのかについて,茎数・穂数を定点観察することで調査した.分げつ肥増施区(4-8-0-6)は,収量,収量構成要素ならびに全重とも後期重点型追肥区(4-2-6-6)とほぼ同じであった.茎数は,後期重点型施肥区(4-2-6-6),分げつ肥増施区(4-8-0-6)とも開花期まで同様に推移し,分げつ肥を増施しても大きく増加することはなかった.開花期以降,さらに茎数が増加し,穂数も成熟期までに倍増した.分げつ肥増施区(4-8-0-6)では開花期後2週目以降にとくに遅れて出穂する分げつがみられた.有効茎の稈長は600 mmを境に大きく2分され,後期重点型施肥区(4-2-6-6)と分げつ肥増施区(4-8-0-6)には稈長600 mm未満のものが対照区(4-2-0-0)に比べて多かった.