2022 年 91 巻 1 号 p. 1-8
本研究では,緑肥として栽培する期間中に種子を形成するため雑草化の懸念のあるSesbania cannabinaと種子形成をしないS. rostrataの生育量と各種成分吸収を比較調査した.沖縄の国頭マージ,島尻マージおよび黒ボク土を充填したポットで45日間栽培した場合,いずれの土壌でも生育量はS. cannabinaよりS. rostrataで大きくなり,両種ともリン施肥量を変えた国頭マージではリン施肥反応は同程度に小さく,低リン耐性は同程度と考えられた.マグネシウム含有率はS. cannabinaよりS. rostrataで高く,それ以外の各種成分含有率は同程度であった.圃場で87日間栽培した場合でも葉と茎の生育量はポット試験と同様にS. cannabinaよりS. rostrataで有意に大きかった.ただし,S. cannabinaでは地上部重の1/3程度を莢が占めていた.莢を含めた地上部重でもS. rostrataで大きかった.莢を含めた地上部の各種成分含有量はリンでは同程度であったが,窒素,カリウム,カルシウムおよびマグネシウム含有量はS. rostrataで大きくなり,S. rostrataの施用効果はS. cannabinaと同程度以上であることが明らかになった.