食糧用二条オオムギにおける省力施肥体系を構築するために,重窒素標識硫安 (以下,15N標識硫安) を用いて,オオムギ植物体中の地力および各施肥に由来する窒素含有量と窒素寄与率,各施肥に由来する窒素利用率を明らかにした.基肥5 g m–2に由来する窒素含有量は1.52~1.80 g m–2,分げつ肥4 g m–2に由来する窒素含有量は2.58~2.60 g m–2,穂肥4 g m–2に由来する窒素含有量は2.62~3.25 g m–2,地力に由来する窒素含有量は4.90~5.82 g m–2で,地力に由来する窒素含有量は各施肥に由来する窒素含有量と比べて多かった.子実含有窒素における窒素寄与率は,基肥が12~14%,分げつ肥が20~21%,穂肥が21~27%であったのに対して,地力は40~45%と最も高く,地力に由来する窒素の重要性が示唆された.各施肥の窒素利用率は,基肥が30~36%と最も低く,分げつ肥は65%,穂肥は66~81%と追肥で高かった.成熟期におけるオオムギ植物体中の子実部の窒素構成比は86~87%で,そのうち54~60%が施肥に由来する窒素であった.オオムギの施肥は生育前半に施用する体系であり,子実部の施肥に由来する窒素構成比が54~60%と高いことから,省力施肥体系の構築にあたっては,生育前半に窒素が溶出する肥効調節型肥料を選定することで,収量が安定的に確保できると考えられる.なお,総窒素施肥量13 g m–2に対して,成熟期でのオオムギ植物体中の全窒素含有量は12.27~12.82 g m–2であった.