日本作物学会紀事
Online ISSN : 1349-0990
Print ISSN : 0011-1848
ISSN-L : 0011-1848
栽培
水稲における品種・施肥法・移植時期が収量性に及ぼす影響-水稲品種「にじのきらめき」を用いた解析-
福嶌 陽
著者情報
ジャーナル フリー

2022 年 91 巻 4 号 p. 303-314

詳細
抄録

水稲栽培において多収と高品質を両立することを目指して,北関東地域において,多収・高品質の新品種「にじのきらめき」と普及品種「コシヒカリ」について,普通期移植区および晩期移植区における早期追肥区,標準期追肥区,および無追肥区の条件下で,収量性を2年間比較した.「にじのきらめき」は「コシヒカリ」と比較して,穂揃期の全乾物重に差異は認められず,総籾数は少なかったが,千粒重がかなり重いためシンク容量がやや重かった.そして,「にじのきらめき」は「コシヒカリ」より,シンク容量がやや重いにも係わらず登熟歩合が高いために精玄米重がかなり重かった.その一因として,「にじのきらめき」は登熟期間が長い可能性が挙げられた.精玄米重は,追肥によってかなり増加し,追肥区の中では早期追肥区より標準期追肥区がやや重かった.追肥によって多収となる要因として,いずれの追肥法もシンク容量が重いことに加え,標準期追肥区においては登熟期間の葉色値が高いことが挙げられた.普通期移植区と比較して晩期移植区は,2020年は総籾数がかなり多いが登熟歩合がかなり低いため精玄米重は同等で,2021年は総籾数が少なく登熟歩合も低いため精玄米重がかなり軽いことが示された.

著者関連情報
© 2022 日本作物学会
前の記事 次の記事
feedback
Top