日本作物学会紀事
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栽培
石川県における無加温出芽による水稲苗の出芽まで期間および有効積算温度の推定
宇野 史生島田 雅博中村 弘和吉田 翔伍塚口 直史
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2023 年 92 巻 1 号 p. 1-8

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抄録

高密度播種した水稲苗の移植栽培技術が開発され,普及が進んでいる.高密度播種苗は移植に適した葉齢の幅が狭く,許容できる育苗期間が制限される.石川県で一般的な加温出芽に加え,露地やビニルハウスでの被覆資材を用いた無加温出芽を組み合わせて出芽まで期間を変化させることで育苗期間を調節できる可能性がある.無加温出芽で育苗した場合の出芽までに必要な積算温度が明らかになれば,出芽まで期間を推測することが可能となる.そこで無加温出芽の出芽までに必要な被覆資材内の有効積算温度や被覆資材内温度に影響を及ぼす環境要因を明らかにすることを目的とし,石川県の4月上旬から5月上旬において露地およびビニルハウスで遮熱性に優れた被覆資材を用いた無加温出芽で育苗した.その際,被覆資材内温度を1時間毎に測定した.出芽まで期間は露地で7~18日,ビニルハウスで5~8日となった.出芽までの有効積算温度の変動係数は無効温度を8.7℃とした場合に最小となり,この場合の有効積算温度の全処理区平均値は63℃であった.遮熱性に優れた被覆資材を用いることで,被覆資材内最高温度は40℃以下に抑えられ,高温障害を防ぐ効果が示された.被覆資材内温度は育苗場所の温度と有意な正の相関関係が認められ,このことは育苗場所の温度により出芽まで期間が推定できる可能性を示唆する.

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