2023 年 92 巻 1 号 p. 9-18
高温は玄米無機ヒ素濃度を高めることから今後地球温暖化が進むことにより従来よりも高濃度の玄米無機ヒ素濃度を示す地点が増加することが予測され,玄米無機ヒ素濃度の低い水稲品種の育成は重要な課題である.本研究では,ジャポニカ品種「コシヒカリ」と,「コシヒカリ」に比較し玄米無機ヒ素濃度の低いインディカ品種「タカナリ」の正逆染色体断片置換系統 (CSSL),及びCSSLから派生した準同質遺伝子系統 (NIL) を用いて,玄米無機ヒ素濃度と玄米品質の調査を行った.その結果,「コシヒカリ」染色体を背景とし「タカナリ」の第10染色体断片の一部を有するNIL中に,「コシヒカリ」に比較し玄米無機ヒ素濃度が低い系統を見出した.このNILにおいては,玄米の整粒歩合は「コシヒカリ」に比較して有意差は見られなかった.