日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
乾燥程度がサツマイモ「兼六」蒸切干の甘さに及ぼす影響
坂本 知昭石谷 美穂眞島 千尋
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2023 年 92 巻 3 号 p. 230-234

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抄録

サツマイモ「兼六」蒸切干の製造過程で,乾燥が進むと甘さが急激に感じられなくなる現象が認められた.糖の分解が進んでいる可能性は低いことから,乾燥の進行に伴う硬化が甘味効率を低下させたと考えられた.つまり乾燥による糖の濃縮効果と硬化による甘味効率の低下により,蒸切干には最も強く甘さを感じる乾燥程度が存在すると予想された.乾燥時間が異なる「兼六」蒸切干片一対を比較する単純化した甘味の官能評価を繰り返した結果,本研究で供試した「兼六」塊根では以下のことが明らかとなった.1.30℃の連続通風定温乾燥では17 h程度の乾燥時間で最も甘く感じられることが明らかとなった.2.乾燥時間と含水率,硬度,Brixの間には高い一次相関が認められたことから,最も甘く感じられる「兼六」蒸切干の乾燥程度は含水率30.6%,果実硬度計KM-1で測定した硬度0.89 kg,Brix 48.4%と推定された.また,年齢層の高い被験者は食感を重視し,年齢層の低い被験者は甘さを重視する傾向が認められたことから,既存の蒸切干より乾燥時間が短い甘くて軟らかい蒸切干の商品化により若年層向けの需要が開拓できると考えられた.

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