日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
浅水条件での水稲無農薬・無化学肥料栽培に対する稚苗の適性
小林 英和岡田 俊輔金田 哲
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キーワード: 水稲, 有機栽培, , 移植, 収量
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2024 年 93 巻 4 号 p. 305-311

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抄録

水稲の有機栽培では,抑草技術である深水管理への適応性などの点から中苗や成苗といった葉齢の進んだ苗の使用が一般的である.しかしながら,瀬戸内のように降水量が少なく,深水管理の導入が容易ではない地域では,圃場面積あたりの使用苗箱数を削減できる稚苗を使用する方が経営上有利となる可能性も考えられる.そこで,当地域での水稲無農薬・無化学肥料栽培に対する稚苗の適性を検討するため,浅水条件での雑草および水稲の生育・収量を稚苗移植と中苗移植で比較した.入水時期の変更および機械除草により雑草発生量を変えた圃場で比較したところ,苗の違いは雑草地上部乾燥重や水稲精玄米重に有意な影響を与えなかった.また,精玄米重は雑草地上部乾燥重の増加に伴い減少し,その関係は単回帰で回帰できたが,その回帰直線の傾き・切片は中苗移植と稚苗移植で有意差が無く,苗の違いは水稲と雑草の関係に影響を与えていないと判断された.これらの結果から,浅水条件での水稲無農薬・無化学肥料栽培においては,中苗移植と稚苗移植による収量の差は小さいと判断され,圃場面積あたりの使用苗箱数が削減できる稚苗の使用は,有効な栽培手段になりうると考えられた.

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