植物の出芽は乾燥や土壌クラストによって阻害され,これらの出芽阻害要因は播種前後の気象で変化し,出芽率や適正な播種深は播種前後の降水条件に大きく影響を受けることが知られている.対応策として多めに播種し手作業で間引く方法は,土地利用型作物では労力的に困難である.特に,種子の小さい作物は出芽阻害を受けやすく,気象条件に応じた適正な播種深設定が重要となるが,播種後の気象は予測困難である.そこで,栽培予定条間に対し半分の条間で播種深の浅い条 (浅区) と深い条 (深区) を交互に設定し,出芽の劣った条を中耕作業で間引く「二深法播種」 を考案した.本研究では,ゴマにおいて様々な気象条件のもとで二深法播種を圃場で38回実施して出芽率を調査した.その結果,気象条件によって浅区の出芽率のみが高い場合,深区のみが高い場合,ほとんど差がない場合の3パターンに分かれた.各パターン別の出芽率の事後分布と天候パターンの発生割合をもとに出芽率のシミュレーションを実施した.その結果,目標出芽率45~75%を達成する確率は,浅区のみでは59%,深区のみでは54%であったのに対し,二深法播種区では81%となり,二深法播種の実用性が示された.