六条オオムギ品種「カシマムギ」で多発する成熟期後の稈の折損は,多発すると刈り取りが困難となり,収穫ロスが増大する.本研究では,成熟後稈折損の発生の様相を調査するとともに,折損しやすい「カシマムギ」の稈と,同じく麦茶用の六条オオムギ品種で成熟後の稈折損が発生しにくい「カシマゴール」の稈の特性を比較した.成熟後稈折損が発生した「カシマムギ」圃場では,第2節間で折れている稈も認められたものの,大半の稈が第1節間で折れており,第1節間の下部 (節との接続部) と第1節間の上部 (穂首節の下) が頻発部位と考えられた.「カシマゴール」は「カシマムギ」より,第1節間の断面係数が小さいが曲げ応力が大きく,また,表皮細胞層が厚かった.さらに,登熟期間における第1節間のリグニン含有率が高く,含水率の低下が遅く,乾物減少量が小さく,成熟期まで曲げ応力が維持され,挫折時モーメントが大きかった.このことが,「カシマゴール」の成熟後稈折損への耐性の要因であると推測された.