日本作物学会紀事
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研究・技術ノート
shinyを利用して大規模水稲作を「見える化」するWebアプリケーションの作成
石川 哲也吉永 悟志清水 ゆかり内藤 貴通内藤 純子
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2026 年 95 巻 1 号 p. 85-90

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抄録

多様な品種を幅広い作期で作付している大規模稲作経営体において,栽培管理が収量や品質に及ぼす影響を「見える化」するため,網羅的に収集した圃場別データセットを利用してグラフを作成するWebアプリケーションを,R言語のshinyパッケージを利用して作成した.営農データとして,茨城県南部で大規模稲作を展開する農業生産法人において,2019年から2024年までのべ1149圃場の栽培管理データを収集した圃場別データセットを使用した.ユーザーが本アプリケーションを実行し,表示したい収量や屑米重量比率などの「生産力指標」を選択してから,さらに年次や品種を選択すると,絞り込まれたデータに基づくグラフがリアルタイムで表示される.グラフの種類は,1) 「生産力指標」の階級分布図と,2) 収穫日あるいは3) 合計窒素施肥量と「生産力指標」との散布図であり,品種や圃場の立地ブロックが塗り分けや記号の形により区別して表示される.収穫日の表示範囲は,経営全体における位置づけを明確にするため固定し,「生産力指標」と合計窒素施肥量は選択した品種に応じた範囲にズームすることで,差をより明確に表示できる.これらの「見える化」を通じて,収集した栽培管理データが「生産力指標」に及ぼす影響をユーザーが把握しやすくなり,問題点への気づきが容易になることが期待される.経営体の営農計画立案者のような特定少数のユーザーが本アプリケーションを利用する場合,R言語をインストールしたコンピュータの所定のフォルダに,ソースコードとデータファイルをコピーして実行する.

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