黒大豆では,原粒外観上は無損傷で裂皮も認められないにもかかわらず,煮豆等の加工時に顕著な皮切れ(加工時皮切れ)が多発することがある.しかし,生産上の対策は困難であることから,加工時皮切れ耐性を有する黒大豆の品種育成の重要性が高まっている.一方,品種育成に必要な加工時皮切れ耐性に関する客観的評価法は開発されていない.本報では,加工時皮切れの主要因である「剥皮」の外力付与による発生が,子実水分により影響を受けること,この程度に品種・系統間差がみられることを見出した.そして,「剥皮」を外力付与により発生させ,水浸漬後の皮切れの粒率から算出する「外力耐性指数」により加工時皮切れ耐性を評価する手法を開発した.子実水分を調整した北海道産の黒大豆7品種・系統について,本評価法を用いて加工時皮切れ耐性を評価した結果,子実水分9%および14%の時に外力耐性指数の品種間差が認められた.子実水分9%および14%における外力耐性指数は,それぞれ過乾燥下および収穫適期での収穫・脱穀による剥皮の発生リスクを評価する上で有用である.試料とする子実の水分調整は,元の子実水分と目標とする子実水分(9%,14%)および処理する子実重から算出される量のシリカゲルを用いた乾燥処理により簡易に実施できる.本評価法を用いる際は,栽培や収穫・脱穀時の条件を極力揃えたものを試料にするとともに,外力耐性指数には年次間差が認められることから,複数年の傾向を把握することが望ましい.