日本血管外科学会雑誌
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症例
破裂性腹部大動脈瘤に対するステントグラフト内挿術による1救命例
青木 淳末澤 孝徳櫻井 淳
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ジャーナル オープンアクセス

2010 年 19 巻 7 号 p. 757-761

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抄録

破裂性腹部大動脈瘤(rAAA)の死亡率は高く,低侵襲なステントグラフト内挿術(以下EVAR)により救命率が向上する可能性があり,海外では多くの報告がなされている.今回,われわれはショックに陥ったrAAAに対して緊急EVARを施行した.症例は74歳女性で,他院で単純CTが施行され,rAAAと診断され,当院へ救急搬送された.来院時ショック状態であり,造影CTにてEVARが可能と判断,来院後1時間22分で手術を開始した.EVAR後循環動態は安定し,術後1日目に腹腔穿刺によるドレナージを行い,腹部高血圧症は回避できた.術後造影CTにてendoleakは認めず,術後14日目に退院した.緊急EVARを施行するためには,血管造影装置などの設備整備,ステントグラフト指導医,ステントグラフトの常備などの体制が必要であるが,EVARの普及により,今後わが国でも増加する可能性がある.

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