破裂性腹部大動脈瘤(rAAA)の死亡率は高く,低侵襲なステントグラフト内挿術(以下EVAR)により救命率が向上する可能性があり,海外では多くの報告がなされている.今回,われわれはショックに陥ったrAAAに対して緊急EVARを施行した.症例は74歳女性で,他院で単純CTが施行され,rAAAと診断され,当院へ救急搬送された.来院時ショック状態であり,造影CTにてEVARが可能と判断,来院後1時間22分で手術を開始した.EVAR後循環動態は安定し,術後1日目に腹腔穿刺によるドレナージを行い,腹部高血圧症は回避できた.術後造影CTにてendoleakは認めず,術後14日目に退院した.緊急EVARを施行するためには,血管造影装置などの設備整備,ステントグラフト指導医,ステントグラフトの常備などの体制が必要であるが,EVARの普及により,今後わが国でも増加する可能性がある.