日本作物学会紀事
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生籾の貯留性に関する研究
第3報 生籾集団における単粒含水率の変異と変質の関係
加藤 雄久山崎 信蔵
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1978 年 47 巻 1 号 p. 1-5

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抄録
1. 成熟期における穂の粒別含水率は変異が大きく, 15%から29%に及び, 階級分布は天候によって著しく異なった.
2. 水分が不均等な籾集団を通風乾燥すると, 高含水率籾の水分低下度が大きくて早く, 粒間の水分変異が縮少しながら平均値が低下した. 粒間の水分変異は貯留によって徐々に縮少するが, 10日後でも各粒の水分は同一にならなかった.
3. 生脱穀籾の貯留において, 単粒含水率が約23%以上の籾は短日数で, 約23%~19.5%の籾は半月以降に変質し, 19.5%以下では2ヵ月以内に変質しなかった.
4. 高含水率籾の籾間湿度は短時間で籾の水分に平衡し, 平均含水率が19.3%の籾間湿度は90%に, 20.3%は93%に, 22.3%は97%に, 24.7%は飽和湿度となった.
5. 籾の一時貯留における変質を抑制する籾含水率は19%以下が適当である. 収穫直後の籾は粒間の水分変異が大きいので, 平均含水率が19%以下であっても通風乾燥を行って水分変異を縮少し, 貯留するのが望ましいといえる.
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