日本作物学会紀事
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トウモロコシの多穂性に関する生理・生態学的研究 : 第2報 2穂型系統と1穂型系統における乾物生産特性の差異について
佐藤 肇中世古 公男後藤 寛治
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1978 年 47 巻 2 号 p. 206-211

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抄録
2穂型トウモロコシの生理・生態学的特性をさらに明かにするため, 着生雌穂数について異なる北交22号(2穂型系統)と北交18号(1穂型系統)の乾物生産特性を十分な土壌水分条件下の疎植区(2,560 個体/10a)と密植区(10,078 個体/10a)において, 比較・検討した。1. 8月8日(絹糸抽出期)において, 異なる数の雌穂をもった個体の分布に疎植区の両系統間で大きな差異は認められなかったが, 北交22号の2段目雌穂乾物重は, 北交18号に較べ著しく大きかった。密植区では, 北交18号の無雌穂個体の割合が, 北交22号の2倍以上認められた。2. 8月8日を中心とした前期で, 両系統の個体当葉面積に大きな差異はなかったが, 北交22号の純同化率(NAR)および個体当乾物増加速度(CGR)は北交18号より高い値を示した。3. 後期における北交22号の雌穂に対する分配率は, 北交18号に較べて高く, 稈と葉鞘に対しては著しく低いことが認められた。以上の結果から, 2穂型系統は, 高い純同化率により絹糸抽出期までの2段目雌穂の発達を促進し, さらにそのSink sizeの増大によって同化産物の効率的蓄積を行うものと推察された。
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