抄録
Andigena 系統 (S. tuberosum ssp. andigena) は栽培種 (S.tuberosum ssp. tuberosum)の祖先種とされ, 現在のバレイショ栽培種の遺伝的背景を拡げる上で重要な育種材料として注目されている. そこで, 本報では農林1号, 北海61号を比較品種とし, Andigena 2 系統 (W553-4, C10193-1) の乾物生産特性および葉群構造について検討した. 1. Andigena 系統は栽培品種に比べ, 塊茎形成が約2週間遅く, 生育前半の塊茎乾物増加速度(TGR)が小さいほか, 地上部乾物重, 特に茎の割合が大きかった(第1図). 2. CGR, NAR および TGR は, 生育前半では Andigena 系統が低く推移し, 塊茎形成後の CGR は NAR(r=0.878) および TGR(r=0.882) との高い正の相関を示した(第2図). 3. 植物体が受光した光合成有効放射量当たりの乾物生産効率 (EPAR) は Andigena 系統が小さかった(第1表). 4. Andigcna 系統の塊茎は栽培種に比べ著しく小さかった. 最終塊茎収量は C10193-1 が小さいものの, W553-4 は極晩生で長期間葉面積を維持したため, 農林1号と同程度の高い値を示した(第2表). 5. Andigena 系統は栽培品種と全く異なる葉群構造を示した. 特に, W553-4 は均一な葉群構造を示し, 下位葉が大きいほか吸光係数 (K) が小さく, 受光ならびに群落内部への光の浸透が良好であった(第4, 5図).