抄録
タイ国のキャッサバ栽培では, 1975年にタイ在来品種から選抜された品種, Rayong 1が現在広く普及している。1984年にCIATの交配種子から育成された改良品種, Rayong 3は分枝型の草型を示し, 塊根の高い澱粉含有率とその多収性が注目されている。本研究では, Rayong 3の乾物および収量生産特性に着目して普及品種Rayong 1と比較検討した。全乾物重および塊根乾物重は, 生育期を通じてRayong 3でRayong 1に比較して高く推移した。また, 両品種の最終全乾物重の差は, 雨期における乾物生産の違いによるものであった。得られた結果を総合すると, Rayong 1と比較してRayong 3の優れた生産特性は, i) 雨期の高い葉面積展開力と結びついた高い乾物生産力, ii) 塊根部への高い乾物分配率, iii) 塊根の高い乾物率および澱粉含有率の3点に要約された。