日本作物学会紀事
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数種の下胚軸伸長型マメ科作物間における芽ばえの抽出力, 胚軸の太さおよびエチレン発生量の比較
鄭 紹輝井之上 準
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1990 年 59 巻 2 号 p. 277-282

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抄録
下胚軸伸長型のマメ科8種作物を供試し, 前報と同じ方法で, 25℃暗黒条件下で長さ3 cmに伸長した芽ばえの抽出力, 抽出力の測定 (荷重処理) 中に起こる下胚軸の伸長・肥大および芽ばえからのエチレン発生量を測定した。その結果, 芽ばえの抽出力の経時変化および最大抽出力は作物によって異なり, 抽出力が最大に達したのは測定開始15~50時間後, 最大抽出力はラッカセイの約500 gからモスビーンの約30 gまで変異した。最大抽出力と粒重 (r=0.8355**) および下胚軸の太さ (r=0.9636**) の間には正の相関関係がみられたが, 粒重1 mg当りおよび下胚軸の横断面積1 mm2当りに換算した抽出力は作物間にかなりの差異がみられた。また, 荷重処理された芽ばえでは各作物とも伸長が抑制され, 下胚軸が肥大し, エチレン発生量が増加したが, その増加程度はダイズ: アキセンゴク, インゲンマメ, ササゲ, フジマメでは大きく, ラッカセイでは小さかった。荷重処理によるエチレン発生量の増加が大きかった作物では, 芽ばえの下胚軸の肥大程度が大きく, 芽ばえが屈曲を開始した後の抽出力の増大程度も大きかった。なお, 芽ばえの抽出力の強弱は, 下胚軸の内部組織の違いや抽出力の測定中に起こる芽ばえの伸長・屈曲および肥大などと深い関係があると考えられた。
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