抄録
明治期以降の各年代において, 関東地方の基幹品種となったいくつかの品種 (以下, 1945年以前に登録されたものを旧品種群, 1950年以降に登録されたものを新品種群とする) について, 稔実期を中心に個葉光合成速度 (CER) および気孔伝導度 (gs) を比較検討し, 以下の結果を得た。(1) 出穂前においては, 新旧品種間にCERの差は認め難かった。しかし, 稔実期においては, 明らかに新品種の方が高いCERを示した。乳熟期におけるCERの新/旧比は, 3カ年, 早・中・晩品種の平均で124.4%であった。(2) 新旧品種のgsの生育のすすみに伴う推移は, CERのそれとほぼ同様で稔実期において新品種のgsは旧品種のそれに比べて高かった。また, 新品種では時刻の進みに伴うgsの低下の程度が小さいという傾向がみられた。(3) 新旧各品種を込みにして, gsとCERとの関係を検討したところ, 両者の間には多くの場合, 相関係数+0.8以上の密接な相関関係が認められ, CERの品種による変異がgsのそれによりひきおこされることが示唆された。しかしながら, この場合のgsに対するCERの回帰係数に比べ, 葉の外囲空気加湿処理をした場合のgsの増加量に対するCERの増加量の比率 (ΔCER/Δgs) の方が小さく, 前者に対する後者の割合は約70%であった。このことから, CERのgsに伴う変動のうち真にgsの差異にもとづく部分は約70%で, 他の約30%は葉肉の光合成活性のgsに並行的な変動にもとづくものと考えられた。