抄録
稔実期にみられた水稲個葉の気孔伝導度 (gs) における新旧品種間差異の生理学的基礎を検討し, 以下の結果を得た。(1) 日没後の茎切断面からの出液速度について, 出穂期においては, 新旧品種間に系統的な差異を認め難かった。しかし, 乳熟期においては, 品種の育成年度が新しいほどこの値が大きいという傾向が明らかに認められた。(2) この時期において, 出液速度とgsとの間に多くの場合正の相関関係が認められた。これらのことから, 新品種では根の活力が高く, 葉への能動的な水分供給力が高いことが, gsを大きくしているものと推察された。(3) 通気圧 (稲体内の細胞間隙を経て地上部から地下部へ空気を通すのに必要な圧力で通気組織の発達程度の指標) に関して, 出穂開花期までは新旧品種間に差がみられなかった。しかし, 稔実期に入ると, 育成年度の新しい品種ほど通気圧が低いという傾向が時とともに顕著になった。このことから, 新品種では旧品種に比べ生育後期において地上部と地下部を結ぶ通気組織の発達がよく, 根への酸素の供給が維持され, このことが根の活力維持をもたらしていることが示唆された。