抄録
水稲の主茎および分げつ間における窒素の移動を明らかにするため, 主茎の第4葉着生節より発生した1次分げつ (T4) の根群に15Nを施用して, 主茎およびT4を含む各分げつにおける15Nの含有率と分配率の推移を調査した。T4の根群が吸収した15Nの分配の多い順位の傾向は次のとおりとなった。すなわち, T4から発生した2次分げつ (T41, T44) > T4自身 > > 主茎 > T4より上位の節から発生した1次分げづ (T5, T7) > T4より下位の節から発生した1次分げつ上の2次分げつ (T31, T34) > T4より下位の節から発生した1次分げづ (T3) の順位となった。T4上の2次分げつへの分配は多いが, T4より下位の節から発生した1次分げつ並びにそれの2次分げつへの分配が著しく少ないことが明らかにされたので, 水稲では, 上位の節の分げつから, それより下位の節の分げつへの窒素の転流は, 極めて少ないと推察された。