日本作物学会紀事
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ノンパラメトリック回帰を用いた温度影響評価による水稲の生育期予測
石橋 英二桐山 隆田村 良文金野 隆光小野 祐幸
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1990 年 59 巻 3 号 p. 443-449

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抄録

岡山県南部の主要品種 (日本晴, アケボノ) について, 移植期~幼穂形成期と幼穂形成期~出穂期の温度影響評価と幼穂形成期および山穂期の予測を行った。その際, 竹澤らが, 堀江らの概念に基づいて提案した方法, つまりノンパラメトリック回帰を用いてDVRを決定する方法 (以下, ノンパラメトリックDVR法と称する) を用いて解析した。また, 予測精度を有効積算温度法と比較した。さらに岡山県と石川県で得た生育期毎の発育速度と温度の関係 (DVR-T曲線) を比較した。1. DVR-T曲線は, 生育ステージによって特徴的な形状を示し, 移植期から幼穂形成期では, 湾曲していたが, 幼穂形成期から出穂期では直線状となった。2. Cross-validationを併用したノンパラメトリックDVR法で幼穂形成期あるいは出穂期を予測した結果, 予測日と観測日の差は最大2~3日であった。3. ノンパラメトリックDVR法と有効積算温度法を比較した結果, DVR-T曲線が直線の場合には, ノンパラメトリックDVR法と有効積算温度法の予測精度は同程度であったが, DVR-T曲線が湾曲する場合には, ノンパラメトリックDVR法の予測精度が勝っていた。4.石川, 岡山両県で得たDVR-T曲線の比較から, 移植期~幼穂形成期では, 発育速度は20℃以上で頭打ちになるが, 幼穂形成期~出穂期では気温が高いほど, 発育が早まり, 温度反応が鋭敏であることがうかがえた。

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